「元気がない時は無理をせず…」 BOB DYLAN/TIME OUT OF MIND 

 「私たちは今、そんな明るい歌は聴きたくないんだ」
 これは、阪神淡路大震災の後、仮設住宅に住んでいたあるお年寄りが言った言葉である。ボランティアがお年寄り達を元気づけようと明るい歌を歌ったところ、そう言われたのだそうだ。
 この話を聞いて、私はなるほどと思った。
 確かに、元気のない時に、無理に盛り上がろうとしても盛り上がれない。私は、疲れた時や落ち込んだ時に元気のいい曲を聴いて、モヤモヤした気分をドーンと吹き飛ばしてしまおうと考えることがあるが、そうやって明るい曲を聴ける時は、自分の疲れや悩みなんかは、きっとまだまだ平気なレベルのものなのだろう(^^;)。
 実際、本当に落ち込んでいたり心配事があったりする時は、それが解決するまで、普段こんなに好きな音楽が聴けないこともある(^^;)。

 そして、そんなことを考えながら、今日、私の後ろで流れているのが、ボブ・ディランの「タイム・アウト・オブ・マインド」である。

 これは、1997年にディランが前作から数えて7年ぶりにリリースしたオリジナル・アルバムである。プロデューサーはU2で有名なダニエル・ラノア(ネヴィル・ブラザーズのプロデュースもしている)。
 ディランはラノアをとても信頼していて、そんなラノアとの作品だけに、本作の完成にも大きな満足感を感じていたらしい。
 
 1曲目からいきなり「ラヴ・シック」なんてタイトルに戸惑ってしまうが、ディラン本人が満足しているように、名曲である。特に、元気がない時には、じわじわと胸に沁みてくるはずだ。「ラヴ・シック」…恋煩い。実に暗ーい曲だが、それがまたいい。いつも、プロテスタントのイメージの強い最初期のアルバムを好んで聴いている私にとって、この曲を初めて聴いた時は、失恋を歌うディランというのがとても意外な感じを受けたのだが、渋い歌声と渋い演奏に一発でKOされてしまった。実に味わい深い。

 そして、味わい深いと言えば、それ以外の全ての曲が味わい深い。
 唯一、2曲目の「Dirt Road Blues」が明るい曲だが(しかし、詞の内容は、これも失恋!)、アルバム全体を通して伝わってくるのは、ブルージーでジャジーな大人の落ち着いた雰囲気(内容は、失恋や人生の苦悩といったものが多いが…)。
 ディランのハーモニカがあまり聴けないというマイナス要因を挙げるファンもいるようだが、前述の「ラヴ・シック」や、およそ17分にも及ぶラストの「Highlands」など、聴き所も満載だ。

 私自身、現在恋煩いをしている訳ではないが、どうしても元気が出ない時は、無理せず、こんな落ち着いたアルバムを聴くことでエネルギーが徐々に充電されるのかも知れない…。


PS.
 今回、ボブ・ディランを聴こうと思ったきっかけは、リュウさんのブログでディランの記事を読んだから(^^)。
 それから、このアルバムを聴きながら思い浮かんだのが、まりさんのこと。最近、元気のないまりさん。ゆっくり充電して、また素敵な記事を読ませてくださいね。


「LOVE SICK」(DVD「Ripped from the Modern Times 」より)

「Highlands」スライド・ショー(2001年のオーストラリア公演より)

試聴はこちら

<ROCK>
BOB DYLAN/TIME OUT OF MIND (1997)
1. Love Sick
2. Dirt Road Blues
3. Standing in the Doorway
4. Million Miles
5. Tryin' to Get to Heaven
6. 'Til I Fell in Love with You
7. Not Dark Yet
8. Cold Irons Bound
9. Make You Feel My Love
10. Can't Wait
11. Highlands
画像

この記事へのコメント

2008年10月17日 07:19
おはようございます。
いつもご心配をかけましてすみません。

「恋わずらい」もありますが家庭わずらいもあって
落ち込んでいるのです。
ボブ・ディランはこのアルバムは持っていないのですが
結構ありますのでこの曲を捜してみます。

ブログで書けないのでちょっとロノケを。
BF君は私の悩みを聴いてくれ「ぼくは出来るだけなんとかしようと思っているんだよ。まりちゃんがいてくれないと、ぼくも生きていけないよ」
しばらく、この言葉を励みに頑張ろうと思います。
落ち込んでいる私に娘もむこうからHugしてくれて、愛は生きるパワーなんだと嬉しかったです!!
2008年10月18日 09:45
相変わらず多忙な生活されてますね!
ふっと抜かないと、辛いですよね・・・。

さて、本文リンクありがとうございます!
ですが、この時期のDylanは・・・・
あまり詳しくありません。

Dylan自体最近、魅力に気づき始めたくらいなので♪

ですが、落ち着いたもの聴きたい気持ちはよくわかりますよ~。
2008年10月21日 07:15
まりさん。
おはようございます!
ブログの更新があり、ちょっと安心しました(^^)。
まだまだ、100%復活ではないのだろうなと想像しますが、これからもたくさんいいことがあると思います!
こんな私で、何も出来ませんが、応援しています!
このアルバム、ちょっと静かにしたいときなんか、本当にいいですよ!評判もいいアルバムです。
是非、聴いてみてくださいね(^^)。
2008年10月21日 07:19
リュウさん。
おはようございます!
今朝、ちょっと動悸が始まってしまい、焦りました。今まではそんなことはなかったので(@@;)。
津波のように切れ目なく次々に押し寄せてくる忙しさですが、一つ一つクリアしていかなくてはと思い、頑張っています(苦笑)。
ディランは、私も詳しくありません(^^;)。
皆さんのレビューを読みながら、未だ勉強中です。これからもいろいろ教えてください(^^)!
evergreen
2008年10月25日 22:35
こんばんは。ご無沙汰しましてすみません。
新BLOGの1回目はZEPじゃなくってディランにしました。何だか1stは過激なアルバムでしたが、
このご紹介のアルバムはしっとり聞けそうですね!
これから色々ディラン聴きます。教えてくださいね~

これからもよろしくお願い致します。
体調のほう、無理なさらずに。
2008年10月25日 23:10
こちらは未聴だったのですが、こちらでジャケットだけ覚えていたのを、図書館に行ったときに偶然見つけ、今日借りて聴いてたんです。ご紹介ありがとうございます。

時代は変わってもディランのアクの強さは変わらないですね。すごく深淵な感じがします。それでも過去のディランと現在のディランってまた聴き方も違ったりして、本当一筋縄ではいかないアーティストだと思います。
2008年10月28日 23:11
エヴァさん!
こんばんは!
1日目はZEPかと思っていたのでビックリしました。しかもディラン(^^)!
ディランは奥が深すぎて、私などが記事を書くのは恐れ多いと言うか、おこがましいと言うか、とにかく勇気が要ったのですが、思わず書いてしまいました(苦笑)。
ほとんど素人なので、私こそどうぞ教えてくださいという感じです(^^;)。
これからも、どうぞよろしくお願いしますね(^^)!
2008年10月28日 23:14
いたち野郎さん!
こんばんは!
記事を読んで、気に掛けてくださっていたのですか!?
滅茶苦茶うれしいです(><)!
初期や中期の名作もいいですが、この盤もなかなか(かなり)いいですよね。
まさに、深淵な感じがします。奥が深すぎてなかなか踏み込めない自分がいるのですが、これからも真剣に聞き続けていきたいミュージシャンの一人です(^^)!

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